

なにゆえ、ドローンを?
元来、新しもの好きであることには変わりないのですが、中山間部の高齢者の医療アクセスが大変困難な様子を見て、ドローンを活用することを思い立ちました。
私の勤務していた岡山県備北保健所管内(高梁市、新見市)および、現在勤務している真庭保健所管内(真庭市、新庄村)は、高齢化率43%という極めて高い高齢化の地域で、備北保健所管内では人口約5万人の中に、高齢単独世帯(老人の一人暮らし)が4,000軒もあります。しかも、中山間部に点在する住居にお住まいの方も多く、お家への道路も細く、軽自動車がやっとの道幅のこともあり、救急車が入れない場合もあります。こうした条件の中、医療機関への通院もかなりの負担になっています。バスの便は1日数便、近所にお住まいの方々も高齢者で、なかなか医療機関に連れて行ってくれる人の手配もままならず、タクシーを利用すると片道5000円になることも往々にあり、年金生活を圧迫します。高梁市などは通院のタクシー代の補助をして努力していますが、有限でもあります。こうした状況は真庭管内でも同じような状況です。
一方、岡山県は急性心筋梗塞の死亡率(人口10万人対)が日本一高く(2021年人口動態調査)、なかでも、高梁・新見地区は県内でも特に高い(標準化死亡比で300%、つまり全国平均の3倍)地域でもあります。急性心筋梗塞は発症後の時間との闘いの疾患です。しかし、残念ながら、高梁・新見医療圏には急性心筋梗塞に対するカテーテル治療(PCI)のできる病院がありません。急性心筋梗塞に限った話ではなく、医療機関への日常のアクセスが極めて不便なのです。
こうした状況の解決策の一つとして、遠隔診療が大きな候補となるのですが、高齢者の方には遠隔診療のツールが使えない場合が多いのです。どうすればよいか・・・。
と、いうわけで、ドローンを
すでに医師(医療機関)と接続済みのスマホやタブレットをドローンに貼り付け、患者さんのお家の庭まで飛ばせば、遠隔診療ができないか・・・と考えたのです。
そのためには、実際実験してみないといけません。
山間の谷間で、電波が切れずドローンが飛んでくれるか、山の頂きには高圧電線もります。もちろん、道路の上や人口集中地域の上空を通るときには制約もります。こうした条件を一つ一つ実証実験して、課題を一つ一つ解決していかなければならないのです。
ということで、そのためには、まず、ドローンの勉強をして、資格を取って、実証実験をしてみよう、と考えました。
2023年10月に2等無人航空機操縦士の学科試験、実技試験に合格。目視外と夜間の試験にも合格。
2023年12月に1等無人航空機操縦士の学科試験に合格、
2024年 6月に1等無人航空機操縦士の実技試験(基本)に合格。
2024年10月に1等無人航空機操縦士の実技試験(目視外)に合格
2025年5月に1等無人航空機操縦士の実技試験(夜間)に合格
これで、1等ドローンパイロットとして、25Kg未満では全項目取得できました。
思えば長い道のりでした。さすがに1等の実技試験には難渋しましたが、やはり、ドローンを自由に飛ばすためには十分な技術を持っていないと危険が伴うため、1等の実技試験には高い技術を要求されることが必要だろうと思います。
ドローンとの通信を強力な電波で行えるるよう、電波法上移動無線局として許される最高空中線電力50Wが出せるよう、資格としては第二級陸上特殊無線技士および第三級アマチュア無線技士を取得済みです。
医療ドローンのユースケース
・ドローンは時速約80Km/hで山間部をまっすぐに飛んでいきますから、救急車よりも早く現場に到着することができます。救急車到着時には、すでにドローンによる遠隔診療で医師が患者さんの状態を把握しており、救急車到着と同時に救急隊員に適切な指示ができる可能性が生まれます。
・中山間部にAEDが配備されていないときには、ドローンに搭載して届けましょう。(欧米ではドローンによるAEDの運搬により救命できた事例が報告され始めています)
・通常の遠隔医療に利用することによって、患者さんの通院にかかる負担を減らし、診療の継続を良好に保つことができる可能性があります。診療継続により、心筋梗塞や慢性疾患の死亡事例や悪化事例を改善できるかもしれません。


山の中の自宅近くの診療所(医者の居ない看護師さんだけの居る診療所)で、患者さんがオンライン通信を利用していつものかかりつけの先生(病院の先生、開業医の先生)との間で「オンライン診療」を受けるとき、看護師さんがオンライン通信機器の操作を手助けをしてくれる。そして、オンライン診療中に先生からの指示で「血液の検査」が出れば、隣に座っている看護師さんが採血して診療所からドローンで病院に血液検体を飛ばす(往路)。血液検査だけではなく、心音・呼吸音、心電図、血圧等の検査データも送れる。さらに看護師さんに技術を修得してもらえば超音波検査だってオンラインで可能になります。そして、しばらくして検査結果が出れば、即座にオンラインで患者さんに知らされると同時に、先生がその結果を見て適切な薬剤・薬量を処方する。薬は復路のドローンに搭載して病院から患者さんの待つ診療所に届けられる(高梁市国民健康保険成羽病院・真壁院長のアイディアより)。そのような仕組みがあれば、患者さんは毎回遠く離れた診療所や病院に行かなくても、自宅の近くの診療所(看護師さんだけの診療所)で、待っている間に検査結果やお薬を受けとることができる。電車やバスの便の乏しい中山間部では、タクシー利用を余儀なくされ、通院の交通費だけでも、5000円、10,000円は優にかかってしまう。中山間部の多くの高齢者は国民健康保健の加入者だったため、老後は基礎年金(最高でも月額68,000円程度)しか収入がなく、医療にかかること自体を諦めてしまう場合もあると思われます。山間へき地に住んでいるために、医療アクセスにる不公平が生じているのです。
こうして看護師さんがオンライン診療の操作を何回か助けてくれれば、高齢者でも自分でオンライン通信機器(スマホやノートパッド)を操作することができるようになります。そうすれば、自宅からでもオンライン診療を受けることができるようになり、さらに便利になります。雪に閉ざされた時でもへっちゃらです。
色々なユースケースを想像するのですが、なにか他にアイディアがありましたらお教えください。奇抜なアイディアもうれしいです。 >> Dr(a)miyahara.vc
なにゆえ、船の免許をを?
瀬戸内海の島々で患者さんが発生したとき、いつでも駆け付けられるようにと、小型船舶免許を取得しました。
最初は4級船舶(平成元年当時、現在の2級小型船舶)を取得しましたが、海岸から5海里(約9Km)しか沖に出られないということで、これじゃあ役に立たんかも・・・と思い、一級小型船舶(海岸からの距離は無制限)をとることにしました。当時は京都に居ましたので、西宮のマリーナまで行って、漁船のような大きな船を借りて練習しました。試験は「外海」で行われますので、試験会場は和歌山県の沖でした。大きく揺れる船の中で、六分儀や水路図、人命救助等の実技試験を受けました。ロープの結紮などは小学生の頃にボーイスカウトで身に着けていたので、難なくクリア。子供のころに身に着けたことは忘れないものですね。体が覚えてました。でも、実技試験全体的には大変でした。運よく一発で合格でき、一級小型船舶の免許を頂きました(平成2年)。当時の一級免許は営業にも使えましたので、渡し船の船頭さんや、釣り船の船長さんの資格(特定)もついてきました。今は、追加の講習を受けないと営業はできませんが・・・
どこか、お役に立てる医療機関がありましたらお声がけください。
これで、上空、陸上、海上、海底(NAUIのダイビングライセンス)どこにでも行くことができます。あとは、宇宙か・・・